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■ 1dayパック比較 サイドバイサイド ■


■似たようなものを買ってしまった

バックパックは想定する活動時間によって容量のラインナップを揃えていることが多い。
比較的短い方、容量で言うと20L近辺のものは、5.11のRUSH12を持っていたのだがイマイチしっくりこないというか「ちょうどいいのがない」感じがしてDirectActionの20Lを買ってしまった。

似たようなものを買ったからには比較せねば失礼でしょう。

5.11 tactical製のRUSH12と、Direct Action製のDUST Mk.IIです。
主観全開で横に並べて比較します。


■ショルダーから行きますか

RUSH12の方は5.11の言う「ヨークタイプ」という、肩がつながったような形。
ベルト自体も強烈にクネったS字の立体形状で、体にフィットする・・・のかもしれないが自分の体ではむしろ浮く。
むちむちのマッチョマンならフィットするのだろう。
ショルダベルトにもmolleのウェビングを備えているが、ベルトがS字に曲がっているので縦に通せないという微妙なやつ。
1列で完結するものなら使える。

DAのDUSTはまあ普通か。
両者ともにバックルでショルダーストラップ自体を外せるようになっているのだが、DUSTはバックルが体に当たる位置にあり、短くしてピシっと背中に背負うと痛いことがある。
この点RUSH12は分厚いパッドの上で留めるため、バックルが体に当たらない設計になっている。


■スターナムストラップ

両者ともにスターナム(胸骨)ストラップを備えているのでショルダーストラップがずれないように保持できる。
このスターナムの位置調整はDUSTの方が自由度が高い。
というのはRUSH12は前述のウェビングを利用してスターナムストラップを取り付ける設計のため、2インチ間隔でしか動かせない。
微妙〜〜だが、イライラすることがある。
これはそもそも負荷を保持する役割ではなく、ショルダーストラップの位置を正しく保つためのものなので、極論すればなくても困らない。


■背面システム

ここは大きく違う。
両者ともにハイドレーションパックを入れられるのは共通だが、RUSH12の方はベタな生地に滑り止めが貼られているのに対し、DUSTはかなり大胆なメッシュ構造で、Combat Vent Systemとやら、パテントまで取っている。
斜めに走るリブによってできた空間を、歩くたびに背中とバックパックの間でポンピングされた空気が出入りする積極的なベンチレーションシステムなのだそうな。
引き換えに服の背中部分が上に蠕動運動で引きずり出されるので、気を付けないと背中が出るw

RUSH12の方はショルダーストラップの裏にもメッシュは無く、正直なところ夏は地獄。
ご自慢のヨークシステムのおかげで首の後ろまで暑いのです。

ついでに言っておくとRUSH12の写真は背中に当たる部分が凹んでいるが、デフォでは樹脂の板が入っているのでこのようには曲がらない、というよりむしろ凸形状で背中側に膨らんでくる。
全く理解できなかったのソッコーで外した。
ハイドレーションが暖まらないための工夫なのかもしれないが、いろいろと背負い心地は良くないRUSH12です。

■ハンドル

RUSH12はナイロンバンドに補強を入れて、さらに折り返して縫っている。
厚さと幅がちょうどいい感じで素手でも手袋でも持ちやすい。
同社の最新のシリーズではここがスポンジ状の生地で覆われているのだが、自分はこっちの方が好み。
柔らかいからといって吸水性の生地は好まない。

一方のDUSTはこれまた思い切ったパラコードを編んだハンドル。
有事にはほどいて使え、とか、無理だし。公式サイトにはハンドルについて全く言及なし。
これはこれで持ちやすくて好きなんだけど、若干重いんじゃないかなぁ。


■ジッパープル

手袋をした手で素早く快適に操作できるか、という観点で両者ともに及第点。

ジッパーの駒に長めにパラコードを通しているのは同じなんだけどDUSTの方はさらに収縮スリーブを通してピンと張っている。
これが存外に便利なのだが、レビューを見ると賛否両論なので邪魔に感じる人もいるようだ。

ちなみにジッパーに関していうと両者YKK採用を謳っているのだがDUSTの方が明らかにスムース。


■メインコンパートメント

大きく方針が別れるところ。

RUSH12は全体が180°パッカーンと全開できるタイプ。
旅行に使う場合は明らかに便利。

DUSTの方は両サイドのポケットのところまでで限界です。
中身をごっそり入れ替えたい時、全部をドサドサっと出したい時、使い勝手がだいぶ違う。
主観だけどここはRUSH12のような全開が好み。


■サブコンパートメント

両者全開にできて各種オーガナイザを備える、似たようなもの。
あんまりここにモバイルバッテリーだの工具だの、重いものを入れるとバランスが悪くなる(体が揺れる時に体から遠くに重心があると疲れる)ので軽い小物だけにしておいた方が吉。


■追加ポケット

RUSHの方は微妙なサイズの浅いポケットがある。
入り口も狭いので若干入れるものに困る。ウェットティッシュとか、ポケットティッシュなどを入れていた。
あとは最後に紹介するラッシングベルトとか。
まあ正直あまり常用していなかった。

DUSTの方は浅く広いので、大概ここに文庫本が一冊入っている。

RUSH12にはサングラスを格納する専用のポケットがある。

背負った時の首筋あたりに来る。
内側がここだけフリース地になっておりサングラスを傷つけない、という触れ込みだが気を付けないと入り口のジッパーで傷つけそう。
そして本当にサングラスというかアイウェアサイズなので欲を出して他のものを入れようとしても、無理。


■ハイドレーションパック

一番背中に近い荷室がハイドレーションパックを入れる部屋。
もちろん別のことに使っても良いのだが、ここにパックを吊り下げるフックがあることと配管を通す穴がハンドル脇に開口している。
まあ使ったことは無い。


DUSTの方は実は2つ入る構造になっており、左がメインコンパートメントの中にある場所。
ここは13インチのノートPCを入れても良いよ、と書かれている。
右の写真がセカンダリで、むしろRUSHに近い場所。
もちろんハイドレーションとして使ったことはない。


■モーリーパネル

RUSHの方はコンベンショナルなPALSウェビングが縫い付けられている。
問答無用のカッコよさがあり見た目で言えばやはりこちらが好き。
下から二番目に取り付けているバックルは後から追加したもの。

DUSTはレーザカットモーリーで、薄く軽く、また縫い目が貫通しないので防水を謳っている。
(バッグ自体は防水ではない)
最初は見た目が気に入らなくてしょうがなかったのだが、慣れた。

ちなみにいずれも積極的に使う場所ではない、と思う。
ただでさえ体から遠い所に重心が偏りがちなバックパックにさらに遠い負荷をぶら下げるのは基本設計として褒められたものではない。


■サイドモーリー

なので、ポーチを追加するなら横でしょう、という発想は正しい。
しかし

コンプレッションベルトを使おうとするとかなり邪魔になる。
右は中身がスカスカの場合、ギューと引き絞るとこんな風に薄くできる(というかこれをしないと内容物が底にたまる)が、ここのウェビングにポーチ類を取り付けているとかなり、相性が悪いことが判る。


DUSTの場合、最初からコンプレッションベルトのあるところにはmolleは配置されていない。
ポーチではないがサイドポケットがあり、水筒(ナルゲンとかね)がすっぽり入って保持できるようになっている。
傘など、長めのものを入れる場合は上部のコンプレッションベルトも利用して保持する。


このサイドポケットはサイドがゴムになっていて伸縮する。
しかし勝手に伸びて落ちては困るためその外のベルトで縛着することになり、この写真どうなっているか判りますか?
外に膨らまないようにナイロンベルトで抑えているため結局、この水筒の円筒の容積の大半は内側のメインコンパートメントに食い込んでいる。


■底面への縛着

本当にこんな使い方をして良いのかわからないけど、RUSH12は底面にも(底鋲風に)ナイロンベルトがあるため、ここにラッシングベルトを通すと多少の荷物は増やせる。
まあでも重いものは無理なので脱いだ上着程度で、そういう目的の場合、登山系のバックパックだとバンジーコードが張ってあるもので、逆に言うとこの両者にはそういう備えは無い。



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