- ・アクセルのフルストローク化
- ZT2はノーマルではアクセルトリガを1/3引いた時点でGT4中ではフルスロットル扱いになってしまいます。
これを改善し、トリガのストロークを全域使い切ることを目的とします。
- ・HW
- ZT2のアクセルストロークの検出に用いている可変抵抗の上流に分圧抵抗を挿入し、トリガをフルに引いてもオリジナルの1/3程度の電圧しか出ないようにします。
これによりトリガを引ききって初めてゲーム中でフルスロットルになります。
最初に断っておきますが、全てが良くなるわけではありません。
ゼロテックに限らずDS2（互換品）が吐くボタン押下データは8bitです。要するに完全に離した状態からベタ踏みまで256段階あるってことです。
これをストロークの空間分解能が256である（8bitである）、と言います。
が、ゲーム側（PS2側）ではこの1/3程度しか読んでくれません。残り2/3は踏もうが抜こうが無意味ですから分解能はその1/3の部分しかありません。
ここで行う改造ではこの1/3部分を3倍に拡大しているだけなので分解能は結局元の1/3、80程度になってしまいます。
その点は覚悟しておいてください。
ただまぁ、元々スロットルを80段階も踏み分けられる人がそうそういるとも思えませんので実害はなかろうと思います。
- ・ドライバセット
- プラスドライバが一種類、場合によっては二種類必要になります。
これはホームセンターで売っているようなドライバー６本セットのようなので構いません。
100均とかの怪しげな品はやめておいた方がいいですよ。今では100均も市民権を得たようでなかなか馬鹿にできないものがありますが、信頼性という意味ではまだまだ。
質の悪いドライバだとネジを壊してしまい、どうにもならなくなります。
- ・はんだ鏝
- ハンダゴテ。電子工作用の20～40Wくらいのやつ。先が適度に細い奴を一本持っておくといいでしょう。
せいぜい3000円くらいですし、一本あれば足ります。
先の細さや形状はいろいろありますが、はっきり言いますとこのレベルの作業では鏝先の形状なんぞ趣味でしかありません。
フラットパッケージのICをはんだ付けする予定があるのであれば円錐を斜めに切り落とした形状のやつが便利。
- ・ラジオペンチ
- 部品の足を曲げたり、ちょっと押さえておいたりと、何かと大活躍。
模型用の小さい奴でいいです。
- ・ニッパー
- 同上。
- ・カッターナイフ
- 事務用のやつで充分。ただし刃がロックできる奴の方が便利だと思います。
- ・ピンセット
- 100円で買えることは買えますが、単にスチール板を曲げただけの物は挟んで持ってるだけで力が要ります。
良い品は根元の方が薄くなっており、反力が弱め。疲れません。
私はHOZANのごっついやつ（丸穴で肉抜きされてるのがカッコイイ！）と真鍮製の細いやつを使い分けてます。
がっちりホールドしたい時は前者を使いますが、これは普通のステンレスなのですでに磁化されており、チップ部品など張り付いて厄介なので、細かい作業には真鍮の方を使います。
逆に後者ははんだがよく乗ってしまうという弱点はありますが。
-
- ・HW
- ZT2分解
ステアリングボスのネジは外す必要は無し。本体側のみです。
あらけっこうありますね。
特に爪もないのでネジを外せば２つに割れます。
[分解TIPS]
参考までに、グリップのラバーを外した状態。グリップの２つのネジだけを外すと、ラバーが片側だけ外れます。
（反対側は中から留められてます。）
この状態で可変抵抗なりスイッチなりが操作できればカッコイイんですけどね。
固定が難しいですね。
- トリガ基板摘出
アクセルとブレーキのトリガを外します。（バネを無くさないように注意）
トリガ基板を固定しているネジを外します。これは本体モールド固定のネジと種類が異なるので別管理。
ま、色が全然違うんで取り違えはしないでしょうが。
この時、ボタン類が集まっているメイン基板周りの配線が邪魔になるので、メイン基板を若干ずらす必要があります。
写真の青い矢印の部分が問題の部分です。
メイン基板はネジ留めではなく、モールドで挟んで固定しているだけなので左右分割していれば手で外れます。
配線はコネクタ部分で外せるようになっているので全て外します。結構力が要りますがコネクタのオスとメスがどのように噛みあっているかをよく観察して引っ張ってください。
その際、コネクタになっていない端（基板直付け）は断線しやすいので注意が必要です。
引っ張り出し中・・・
なんべんやっても緊張しますな。
- 改造
赤い配線が通常と違うところから出ていますが意味はありません。上で「注意」などと言いながら自分が改造の際に切ってしまったのではんだ面から付け直しただけです。
はんだ面のパターンの概略を以下に。
・・・手書き→スキャンして着色したものです。
イラストレータとか持ってないのでこれでガマンしてください。
必要なことしか書いてません。明らかに省略しているピンは全てベタグラウンドでつながっています。
基板上は余った面積は全てベタって感じですので描くのもダルいし、GNDだと思って頂いてOK。
というか、今回いじるのは着色した一本だけですから。
可変抵抗の足の周りにシルク印刷があると思います。この２がCPUが値を読むポートへ、１は共通のベタGNDへ、３は同じく共通の電源ラインへと接続されています。
この部分を回路図にするとこんな感じです。
うわ曲がっとる！
右半分がこの基板収容部分ですね。
実は今回はVR2（アクセル）のみを改造したいのですが、パターン的に厄介なのがVR3（ブレーキ）へのパターンがアクセルを通っていることです。アクセルの上流に単純に抵抗を挿入するとブレーキにまで効いてしまう。
ので、ブレーキの迂回配線を行う必要があります。無論、ブレーキも可変にしたいのであればブレーキ側も同様の細工をしておくことも可能です。
（パターンがやたらと長いし）
ちなみにJP1とシルクがある5ピンの端子・・・というか配線直付けですけど、ここの根元にネジ穴をつなぐ2mm幅程度のシルクパターンがあると思います。ここは組み付けた時にモールドが当たる部分なので本来は実装禁止領域です。
改造の内容によってはここに部品が来る、もしくは配線が通過することもあるでしょう。その場合はモールドをカットする必要があります。
パターンカット
またさっきの手書きのパターン図を引っ張り出しますが、
上図の緑の線の部分をカットします。
青い部分はパターンを剥がし、赤い部分はレジストを剥がします。順番に行きましょう。
道具は普通のカッターが一本あればOK、ただし刃がロックできないとつらいでしょう。
特別な技術があるわけではなく、パターンをカッターでゴリゴリ切ります。銅箔ですからそれなりに硬いんですが頑張って何度も何度も斬りつけます。
力の入れ加減はもう本当に経験で、筋骨逞しい兄貴がうおりゃああと切ると基板までばっさり逝ってしまうかもしれません。加減で。
あくまでも感覚ですが、銅箔を切っているうちは金属同士をすり合わせている滑った感じがします。銅箔が切れて基板に達するともっとザラザラした感じになりますのでなんとなく判ります。
さて緑の部分切ったらその間のパターンを剥がします。
カッターの刃を突っ込んで。
シールを剥がすような感じですね。これが上の図の青の部分。ここまでやればもう完全に電気は通じません。パターン剥がさないと、カットしてあっても接触してたりするんですよ。
それからカットした後、パターンの端をカッターで削ります。
パターンは酸化防止と絶縁を兼ねて絶縁塗膜が施されています。はんだ付けするためにこれを削り落とします。
カッターの刃の裏など、適当に角の立ってるものでカリカリカリカリ。。。。
パターンカットと違い力は要りませんが根気は要ります。
銅の色がはっきり出るまでていねいにカリカリ削りましょう。なるべく広めに、過剰なほどていねいにやっておいた方が後々楽です。
これが上の図の赤い部分。
ここまで終わったサンプルがこちら。
マクロ＋ルーペで接写してますんで視野が狭いですね。(；’ω’)ﾝ
実装後の画像でバレるのですが、レジストを剥がす範囲がこれでは足りなくてはんだが良く乗らず、後から範囲を広げています。
アクセルに抵抗設置。
どうするかは個々の判断にお任せします。
①可変抵抗
手に入れば、そして固定できればですが50k程度の半固定抵抗を入れておけば他のゲームにも対応できるでしょうし、ほぼゼロ、すなわち初期状態にも戻せます。
②固定抵抗＋スイッチ
そこまで可変が必要で無いのであれば、49～56k程度の抵抗を入れ、両端から線を引っ張り出しておいてスイッチをつけておけばストローク拡大状態←→初期状態の切り換えは可能です。
③固定抵抗のみ
さらに俺はGT4しかやらねぇぜというのであれば抵抗一個入れるだけでok、超お手軽です。
抵抗はチップ抵抗でもディスクリート抵抗（足付き）でも構いません。実装容積に割と余裕がありますのではんだ付けだけに注力できます。
！注！：エンスージアについて
昨日購入したエンスージアではペダルストロークの読みが違いました。
本コンテンツはそもそもGT4のみにフォーカスしたものであり仕方が無いのですが、③の改造をしてしまうとエンスージアではペダルが踏み切れません。
デンジャラス！
ブレーキ側の迂回配線。
ブレーキは今回の加工の対象外なのですが、パターン上、ブレーキへの電源ラインはアクセルを通っています。
即ち、アクセル上流を加工する以上ブレーキはバイパス手術をしてやる必要があります。
ま、ほんとに迂回するだけです。
加工範囲の一番外と外をつなぐ配線になりますので最後にやった方がよろしいかと。
アクセルはパターン③の抵抗のみとしてチップ抵抗を使った画像がこれです。
最近はむしろディスクリートの方が入手しにくいですねぇ。。。といってもチップになると１個とか買えないですが。
- 仮組み付け
トリガ基板を配線だけ戻します。
ネジは留め易い対角線で２本程度留めておけば充分。
この時、上でも書いてますが使用した抵抗、配線によってはモールドが邪魔になることがあり、その場合は当たる部分をカットします。
ニッパーでパッチンとVの字に切ればいいんじゃないでしょうか。
- 試験
万が一CPUをぶっ壊していて、アホウな動作をしてしまった場合、PS2のコントローラバスはメモリカードと共用でデータをぶっ壊す可能性が無いとは言い切れないのでメモリカードは抜いておくのが吉です。
GT4で実際にアクセルを踏んでみてチェック。
- 本組み
分解の逆。ケーブルが長く、取りまわしの自由度が高い代りに、ケーブルを噛んで締め付けないように注意が必要です。
[組み付けTIPS]
配線、はんだ付けが結構ちゃちぃのでいろいろいじっていると配線が基板直付けの部分から切れてしまうことがあると思うけれど、配線長に余裕があるので被服を剥いてはんだ付けしなおしてやればOK。
ただいっぺんにブチブチたくさん切れると、どこにつながってた線かわからなくなるんですよね。
心配なら写真撮っておくと意外と助かることがあります。
（まぁそのためじゃなくてwebに乗っける素材として撮ってたんですけど）
モーターの配線やシフトレバー用の配線が特に長く細いので注意です。
- ZT2分解
| No. | 名称 | 定数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | 抵抗 | 47kΩ～56kΩ | |
| 2 | スイッチ | 1回路ON/OFF | 潔く無くても良い |
| 3 | 可変抵抗 | 50kΩ | 1+2の代わりにこれでも良い |
-
①に変更してみました。
グリップラバーを外した時に調整用のトリマが顔を出す様に設置。
これで0Ω～50kΩまでゲーム中に変更できます。（精密ドライバを使います）
ちなみに使ったのはRJ-6Pという名前のやつの50kΩ。
コパル電子の上面調整型のトリマポテンショメータです。かっこいい名前ですが簡単に言えば可変抵抗ですね。
P型とW型は足のピッチしか違いませんのでどっちでもOK。
この型式はBタイプ（線形特性）しかないのでどれでもOK。
こういうお店で通販で買えますが、一個買うのは難しいですねえ・・・。
エリスショップで単品で買えるみたいですが一個300円で送料が700円。。。Ｏrz
入手製の問題はなんともし難く、この程度の情報のみとさせていただきます。
ちなみにこれ、外径はΦ7と大き目です。穴をあける位置は写真の場所くらいしか無いと思います。
これより下はバイブレーション用のモータがありますから。
このネジボスの横は強度的にも良い感じですね。ここに7mmのドリルビットで穴をあけ、きつきつの状態で無理矢理押し込んで裏からホットボンドで留めています。
