TOPページへ

最新
指定:
から
まで

手動 逆順

2022/04/30(土)


言ってもなかなか伝わらないシリーズ。

「フリードのテールランプが分身する件」


まず、普通の車のテールランプが点灯していたとする。
ブレーキランプではない。
自分の眼に対して、前の車が相対的に動かない場合はランプの発光形状のままで良いのだが、動いた場合は尾を引く。

雑な具体例を絵で描くとまず
フリードではない何か


こんなテールランプがあったとして
互いが動いたときにですな、



雑に言ってこんな感じで尾を引くのは、解りますよね?


問題のHONDA車、フリードの場合、たしかこんな形状をしていて


これが動くとき




パパパパパッ!っと


分身するんすよ。

伝われッ!



相対的に動いていれば良いので別に前のフリードさんが動く必要はなく、自分の眼を動かすだけで再現する。
しかしブレーキランプ点灯状態では再現しないことと、人間様の首と眼球の二重ジンバルが優秀すぎて興味対象を視野中心に無意識に引き込んでしまうため意図しない人には本当に見えないらしい。


問題は、原理的には明白で、PWMの基本周波数が低すぎて目で追えてしまうことです。

昨今の明るさの制御は、昔のようなレオスタット、純然たる直流抵抗の大小で電流をコントロールするのではなく、時間方向に細かくオンオフして平均電流を、間接的に平均電力をコントロールしている。
なぜって安いから。
ハードウェアは共通で済むので安いからです。
でも、モーターやヒーターなどのパワー系と違って光デバイスは観察する側の限界が先に来るという点で眼に見える現象も少し違ってくるのです。

10秒を基準周期として、10秒のうち1秒だけ点灯するか9秒点灯するか、こんな制御をしてものんびり点滅しているようにしか見えない。
眼の応答速度の方が圧倒的に速いからです。

1秒を基準周期として、0.1秒だけ点灯するか、0.9秒だけ点灯するか。
この桁でもまだ点滅。

0.1秒を基準として、0.01秒だけ点灯するか、0.09秒だけ点灯するか。
このくらいになってくると解らなくなってくる。
0.01秒の方(デューティー10%と言う)は暗く、0.09秒の方(同、90%という)はほぼ連続点灯に見える。

このような基準周期の中で何割の時間点灯させるかによって見た目の明るさをコントロールする方法をパルス幅変調(Pulse Width Modulation)と言う。

問題はこの10ミリ秒の桁の中で、人によって見える人と見えない人がいるし、同じ人でも見えるときと見えないときがあることです。
秒間30フレームが連続的に見えるからこそマリオが動いて見えるのであって、16msで点滅すると言われてはファミコンも成立しない。
けど逆に、それを見分けられるから1フレーム入力のコンボ技が成立するし、60フレームの動画が有難がられるわけで、この辺は本当に境目なんですな。


本当は、制御としてのPWMは「平均電力」をコントロールすることが主眼であって、明るさのコントロールじゃない。
なんですが、昨今の光デバイスは応答が速く、電流が平均化される以前に眼がついてこないので見た目の明るさの違いとして観察されるのです。
人間の眼の感度は、思うほどダイナミックレンジが広くなく、主に瞳孔という絞りによって入射光量を制限することで疑似的にダイナミックレンジを拡大しているので時間的な応答は制御できません。

カメラなんかは絞りも使うけど、その前に露光時間を制御しているので、明るいところで同じ現象を見ると点滅をはっきり捉えることができる場合がある(発光側、撮像側の周期の組み合わせ次第)。逆に暗いところではガンガンに積分時間を延ばしているので点滅はまず見えません。

そして前述のように明るい点灯(ブレーキランプ)と暗い点灯(テールランプのみ)をデューティーを変えて切り換えているため、ブレーキを踏んだ時はほぼ100%点灯になります。
ので、俺の眼でもさすがにブレーキランプ点灯時は残像が尾を引きます。

輸入車の車幅灯でも似たような現象を見た気がするが、ほぼ出会わないので判らない。
国産車ではフリードだけが眼で追える分身をする。

もしかして気づかないうちに俺の眼だけがデジタル方式に改造されてしまったのかと疑ったけど、twitterで同じことを言ってる人がいたのでちょっとだけ安心した。

でもホンダさん、次は直してね。






PREV

最新
指定:
から
まで

手動 逆順

日記スクリプト.ver.3.14
26-Feb.2023